日本茶といえば緑茶
日本茶と言えば、お湯に出したとき緑色になる緑茶ですよね。緑茶は、日本で生産されるお茶のうちほどんどの割合を占めるのだとか。どうりでなじみ深いわけです!

今回は、日本茶・緑茶の種類や歴史について詳しく紹介していきます。

日本茶の歴史

お茶は、平安時代の初め頃、中国から遣唐使などによって日本に伝来したといわれています。この頃お茶は貴族や僧侶だけが飲める貴重品であり、庶民に普及したのは江戸時代になってからです。この頃に広まったのが緑茶の一種である”煎茶”です。そして江戸の終わりごろには茶園が広がり、日本のお茶の主流となったといわれています。
お茶の分類
お茶の種類は、製法によって分類されます。大きく分けて「不発酵茶」「半発酵茶」「発酵茶」の3種類があり、緑茶は不発酵茶にあたります。半発酵茶は中国でよく作られている烏龍茶のことで、発酵茶は紅茶のことを指します。そして不発酵茶である緑茶は、さらに日本式の「蒸し製」と中国式の「釜炒り製」に分かれます。

では次で、緑茶のおおまかな作り方を一緒に見ていきましょう!
緑茶の作り方
緑茶の主な作り方は「茶葉を摘む」「火を通す」「揉む」「乾かす」の4工程です。緑茶の種類は、この4工程の中で、茶葉の摘み方や火の通し方、揉み方、乾かし方を変えことで変わってきます。

たとえば、煎茶と呼ばれるお茶は、発酵前の若くて柔らかい茶葉を使います。蒸し時間が長いと渋みや香りが飛び、時間が短いと青みと味わいが濃くなります。蒸した後は、水分を均一にするため圧力をかけながら揉んでいき、乾かして完成です。

ここでは大まかな流れを説明しましたが、実際の工程は10工程ほどに分かれています。さまざまな工程を経て、私たち消費者に届いているのですね。
日本茶の種類
  1. 煎茶/深蒸し煎茶
  2. 煎茶は、新鮮な生の葉を熱処理して作る緑茶の一種です。蒸したあとに揉みながら乾燥させて作った茶葉が、煎茶になります。

    また、煎茶を2倍近く時間をかけて蒸したものは、深蒸し煎茶と呼びます。深蒸し煎茶の方が色が濃く細いので、渋みがほとんどありません。お茶を入れたときに茶葉を多く含むため、水に溶けない成分も摂取できるのが特徴です。
  3. 玉露/かぶせ茶
  4. 玉露は、新芽が2~3枚開いたタイミングで日光を遮り、20日間かけて育てるお茶のことで、緑茶の一種です。ワラなどで覆ったときに茶葉に付着する海苔に似た香り「覆い香」が特徴です。製造方法は煎茶と同じですが、日光を遮るためカテキン生成が抑えられるため、なめらかな旨味があります。

    また、覆う期間が1週間短いものをかぶせ茶(冠茶)と呼びます。
  5. 玉緑茶/釜伸び茶/釜炒り玉緑茶
  6. 玉緑茶は、煎茶と同じ工程で作られたあと、ねじって真っすぐにする工程を省いたお茶です。くねくねとした、丸みのある形状が特徴で、ぐり茶やムシグリとも呼ばれています。他のお茶と比べて渋みが少なく、まろやかな味わいをしています。

    釜伸び茶は高温の窯で炒った後、細く捻じって作られるお茶です。そして、釜炒り玉緑茶は釜で炒った後に回転させて乾かしたお茶です。ねじる工程がなく丸みを帯びているため、カマグリ茶とも呼ばれています。
  7. てん茶/抹茶
  8. てん茶は、蒸した後に揉む工程を省き、茎などを除いて、乾燥させた緑茶です。ここでいうてん茶は「甜茶」とは違うもので、漢字では「碾茶」と書きます。玉露と同じようにワラなどで覆って育てられたてん茶には覆い香があり、まろやかな風味をしています。そして、覆わずに作られたてん茶は、やや渋くお菓子の原料として使われています。

    抹茶はてん茶を砕いて粉末にしたもので、まろやかな苦みが特徴です。こっくりとしたのど越しをしています。
  9. 新茶/一番茶/二番茶/三番茶
  10. 新茶は、その年の初めに作られた茶葉の新芽を指します。一番茶とも呼ばれており、さわやかな味わいが特徴です。

    二番茶三番茶は、新茶に使われる茶葉を摘み取ったあとに育つ、新芽からできたお茶のことです。一番茶・二番茶・三番茶のように、茶葉は収穫した順番によって呼び方が変わります。
  11. 番茶
  12. 番茶は、一般的なお茶を作る工程を通らず作られた緑茶のことです。例えば、旬を過ぎた茶葉を使っていたり、葉を切り落とさないままだったりします。

    番茶には、大きくわけて4つの種類があります。 ①地域特有の製法でできたもの。「京番茶」「阿波番茶」など。
    ②大きな葉を切らずに扁平に揉んだもの。「頭」。
    ③新茶で使う新芽(一番茶)を手摘みした後、機会で収穫した遅れ芽でできたもの。「一茶番」
    ④三番茶を採らずに枝葉を伸ばし、秋に収穫した茶葉でできたもの。「秋冬番茶」
  13. 玄米茶/ほうじ茶
  14. 玄米茶は、炒った米に番茶や煎茶を混ぜたお茶のことです。そのため緑茶の一種に当たります。炒ったお米の香ばしさが特徴で、カフェインも少なめなのでお子様も楽しめます。

    ほうじ茶は煎茶や番茶などを色づくまで炒めたお茶で、苦み成分が飛んで香ばしさとすっきりとした味わいを楽しめます。ちなみに「ほうじ」とは、炒めることを指しています。これもまた緑茶の一種に当たります。
  15. 茎茶/芽茶/粉茶
  16. 茎茶は、煎茶や玉露の仕上げ工程のときに出る茎だけを抽出した緑茶で、甘くさわやかな香りが特徴です。

    芽茶は煎茶や玉露の工程途中に選別した芽や葉の先端を使って作られた緑茶です。旨味成分が多く含まれていることから、濃い味わいが特徴です。見た目は丸かったり短かったり、不揃いな形が見られます。

    粉茶は、煎茶や玉露の仕上げ加工時に、細かくなった茶葉だけを抽出して作る緑茶です。鮮やかな緑色が特徴で、茶葉も一緒に摂取できるので、栄養分の多いお茶です。
まとめ
日本茶といえば、鮮やかな緑色が美しい緑茶。日本ではさまざまな緑茶が製造されていますが、製法や茶葉を摘む時期によって、味わいや作り方が異なり、その製法によって名前が変わります。よく聞く煎茶や玉露をはじめ、茶色のほうじ茶も緑茶だとは驚きです。お茶の歴史とともに、日本茶の深い味わいを楽しんでみてくださいね。
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