「好きこそ物の上手なれ」の意味とは?

「好きこそ物の上手なれ(すきこそのものじょうずなれ)」は、好きなことなら上達するのが早いという意味のことわざです。好きなことなら、学習も練習も苦にならないほど熱心に努力を重ねることができるので、自然と物事が上手になっていくということを伝えるときに使える表現です。
今回は、「好きこそ物の上手なれ」の語源や使い方、対義語などについて詳しく紹介していきます。
「好きこそ物の上手なれ」の語源
「好きこそ物の上手なれ」の語源は、明確には分かっていません。「なれ」という表現が現代では珍しい表現であることから、古くから言われていることわざであることは確かです。
「好きこそ物の上手なれ」の「なれ」は、「こそ~なれ」でセットの係り結びという文法表現です。係り結びとは、「こそ」「なむ」「や」「か」「そ」などの係助詞を使うとき、文末の活用が特定の形に変化する法則のことです。
「こそ」の文末は已然形になるので、「なる」が「なれ」という形に変わります。そのため、現代で「なれ」は主に命令形として使われますが、「好きこそ物の上手なれ」は命令形の表現ではなく、「なれ」で締めるのが正しい用法となります。
「好きこそ物の上手なれ」の使い方
「好きこそ物の上手なれ」の使い方を例文で見ていきましょう。
例1:難しいフレーズをこなす弟は、飽きることなく毎日ギターの練習をしていて、まさに「好きこそ物の上手なれ」だと思った。
例2:模試で全国1位を取る子の誰よりも楽しそうに勉強している様子を見て「好きこそ物の上手なれ」という言葉を実感した。
例3:絵を描くのが好きな子どもの絵が、見るたびに上手になっていて「好きこそ物の上手なれ」だと感じた。
「好きこそ物の上手なれ」と同じような意味を持つことわざは他にもあります。似ていることわざにはどのようなものがあるのか、一緒に見ていきましょう。
- 好きは上手の元
- 道は好むところによって安し
例:サッカーが好きで毎日練習している息子を見て、「好きは上手の元」という言葉を思い出した。
例:料理が好きな彼女は、毎日複雑な料理もおいしく。まさに「道は好むところによって安し」だ。
「好きこそ物の上手なれ」には、反対の意味を持つことわざも存在します。「好き」と「上手」が必ずしも結びつくわけではないという、皮肉な視点も含まれていますが、どのような対義語があるのか、詳しく見ていきましょう!
- 下手の横好き
- 下手の考え休むに似たり
- 旦那芸
例:彼はカラオケが大好きだが、音程が外れていて、まさに「下手の横好き」だと感じた。
例:何時間悩んでも答えが出ない彼を見て「下手の考え休むに似たり」と感じた。
例:落語を趣味にしている上司は「旦那芸」そのもので、笑いのレベルはまだまだだった。
「好きこそ物の上手なれ」ということわざは、自分の「好き」という気持ちが成長の鍵であることを教えてくれる言葉です。「好き」を大切にしながら、日々の努力も忘れずに、自分らしいペースで成長していきましょう。