形代(かたしろ)とは?

形代(かたしろ)とは、人の形を模した紙や木の人形のことで、人の身代わりとなり穢れや罪を祓う目的で使われるものです。

陰陽師が使っていた道具として有名ですが、現代では主に「大祓(おおはらえ)」という行事のときに神社で使われています。

今回は、形代の歴史や大祓での形代の使われ方などについて説明していきます。



陰陽師の使う形代とは?

現代での形代は、罪や穢れを祓うために使われる紙の人形です。一方、平安時代を中心に活躍した陰陽師にとっての形代は少しだけ在り方が異なります。

陰陽師にとっての形代は、紙に留まらず、木や藁、土、髪などで作られていたといいます。形代は人の身代わりとなるものであるため、その人形に行うことはそのまま対象者に起こることと考えられていました。例えば、五寸釘を打って呪うことで有名な藁人形も形代に該当します。

陰陽師にとっても形代は罪や穢れを祓うものでしたが、それとは別に呪いをかけたり避けたりする道具としても使っていたといいます。一説によると、陰陽師として有名な安倍晴明は、呪いをかけられた夫婦の代わりに形代を用意し、代わりに呪いを引き受けるように祈祷したといいます。

形代の歴史

形代の文化は古代からあったといいます。縄文時代の土偶や古墳時代の埴輪などがその例です。水に流して穢れを祓うことから、水に流してもいい草木が主流だったそうです。

時代が経つにつれ、祓いは願掛けと結びつきます。例えば、七夕祭りの七夕人形も形代の一種です。七夕人形には、子どもが病気にならないための祓いであると同時に、健やかな成長も願うものです。

また、雛人形も形代の一種です。これもまた、子どもが災いにかからないようにという願いの込められるものです。

このように形代の在り方は少しづつ形をかえ、現代にも残る行事の一部として人々に浸透しています。

形代を用いる「大祓(おおはらえ)」とは?
  1. 大祓とは?
  2. 大祓(おおはらえ)とは、毎年6月30日と12月31日に神社を中心に行われる、罪や穢れを祓う行事のことをいいます。大祓では主に、形代と茅の輪くぐりで穢れを祓います。
  3. 形代で祓う場合
  4. 形代で穢れを祓うときは、形代に名前を書き神社に託します。神社側は祈禱後、その形代を水に流したり、お焚き上げをしたりすることで浄化をします。
  5. 茅の輪くぐりで祓う場合
  6. 茅の輪(ちのわ)とは、藁やイネ科の多年草でできた大きな輪のことをいいます。この輪をくぐることで心身を清めます。くぐり方も決まっており、神社によって異なる場合もあります。
大祓での形代の使い方

大祓での形代の使い方を紹介します。

※神社によって細かく方法が決まっているところもあるため、神社ごとに調べてから行いましょう。

  1. 形代に名前・年齢を書く
  2. 形代は、6月に入ったころから境内に置かれ始めます。形代を頂いたら、名前と年齢を書きます。

    ※年齢は、数え年で書くように指示しているところや生年月日で書くように指示しているところもあります。

    大抵の場合は封筒一枚につき複数枚、形代が入っています。家族や会社の人と一緒に書くのも良いですね。
  3. 3回息を吹きかける
  4. 名前と年齢を書いたら、形代に息を3回吹きかけます。自分の穢れや災いを移す心持で行います。
  5. 形代で体を撫でる
  6. より形代に穢れを移すために、形代で体を撫でます。体の中に気になるところがあれば、重点的に撫で移してみましょう。
  7. 初穂料を入れて渡す
  8. 身代わりとなった形代と初穂料(はつほりょう)を封筒に入れて、神社に渡し水に流したりお焚き上げをしたりしてもらいます。穢れを流したあとは、自分の行いを見返して穢れや災いをつけない生活を心がけてみましょう。

    ※初穂料の額は、神社ごとに違います。
  9. 周囲を不快にすることがある
  10. 何も書いていない形代は、入っていた封筒に入れて神社に渡したり、紙ごみとして捨てて構いません。書き損じてしまった物は、神社に持っていき対応してもらいましょう。
まとめ

形代は自分の身代わりとして穢れを祓うものです。救いと許しの道具ではありますが、考え方によっては、災いを寄せ付けない生活を送るための戒めともなります。より良い生活を送るためのものとして、みなさんも形代を取り入れてみてはいかがでしょうか。

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