ピーターパン症候群(ピーターパン・シンドローム)とは、年齢的に成人していながらも、「精神的に大人になれない人」を意味する言葉です。責任感の薄さや、現実逃避、依存心の強さなど、成熟した大人として持つべきものが欠如しているのが特徴です。様々な要因が重なることによって生まれるパーソナリティー障害ですが、カウンセリングを通じて、自分の気持ちを理解し、理解を深めることで治療自体は可能です。この症候群にかかっている人はどんな特徴があるのか。一緒に見ていきましょう。
目次
ピーターパン症候群とは?
ピーターパン症候群(ピーターパン・シンドローム)とは、すでに成人していながら、精神的に子供のままであるという「心理的に大人になれない人」を表す言葉です。アメリカの心理学者ダン・カイリー博士が、永遠に大人にならない少年ピーターパンの物語にちなんで提唱しました。ピーターパン症候群の人は、責任感が薄く人任せにしがちだったり、大人になることを拒み、現実逃避をする傾向があります。一般的に社会的信用が低い人間としてみられる傾向はあっても、特別な病気という訳ではなく、カウンセリングによる治療で改善されていくことは可能です。
また、ピーターパン症候群の原因は、遺伝的要因のほかに、発達期のトラウマや、幼少期の家庭環境、周囲の人物や社会的な要因など、さまざまな要因が複雑に絡み合って生まれる心理状態です。
以下で、さらに詳しい特徴と、なりやすい人の傾向について詳しく見ていきましょう。
これに当てはまったらピーターパン症候群
あなたはいくつ当てはまりますか?
大人になりたくない
責任を取りたくない
依存傾向が強い
負けず嫌い
仕事が続かない
自己中心的
反抗的
ずる賢い
馴れ合いの世界で生きていたい
1~3個当てはまったら 「ピーターパン度 : 25%」
4~6個当てはまったら「ピーターパン度 : 50%」
7~9個当てはまったら「ピーターパン度 : 100%」
4~6個当てはまったら「ピーターパン度 : 50%」
7~9個当てはまったら「ピーターパン度 : 100%」
ピーターパン症候群になりやすい人の特徴① 家庭環境
ピーターパン症候群になりやすい人の特徴1つめは、「家庭で甘やかされてきた人」です。家庭が裕福で、身の回りのこと全部母にやってもらていた、10代になっても小さい子のように甘やかされていたなどの経験がある人はこの症候群になりやすいと言います。また、長男・長女である、一人っ子であるといったことも関係してきます。
甘やかされる環境が大人まで続くと、職場や今後の人生設計にも親から口を出されて決定していきます。他人任せで決めたことなので、責任を持つということが出来ず、仕事を任されたストレスでパニックやうつ状態を引き起こすこともあります。
ピーターパン症候群になりやすい人の特徴② 学生時代
ピーターパン症候群になりやすい人の特徴2つめは、「学生時代は優等生だった」です。小・中・高校生のときに、自分で考えず、親や学校の先生に言われたことをしっかり全うしていた人が当てはまります。こういった人は、大人になると指示待ち人間になることが多く、自己決定の面で精神的成長が遅れているといえます。
また、学生時代は大人の言うとおりに動いていれば褒められていたという経験があれば、その栄光に固執し、子ども時代に戻ろうとする傾向があります。
ピーターパン症候群になりやすい人の特徴③ 自己肯定感
ピーターパン症候群になりやすい人の特徴3つめは、「自己肯定感が低い」です。自己肯定感が低いと、承認欲求を簡単な方法で得ようとします。例えば、趣味の合う友人や、成長を促されない職場環境など、馴れ合いの関係を好みます。
この症候群の人にとって馴れ合いばかりの環境は、大人になることを強制されないためとても居心地が良いものです。そのため、自己肯定感が低いこの症候群になりやすいと言われています。
ピーターパン症候群になりやすい人の特徴④ 感情コントロール
ピーターパン症候群になりやすい人の特徴4つめは、「感情コントロールが苦手」です。感情のコントロールは社会においては特に求められることです。感情を上手くコントロールできないまま社会に出ると、コントロールできる人に比べて荒波にもまれたときのストレスは大きくなります。そうなると、ストレスに耐えられず子ども時代に思いを馳せるようになり、この症候群を発症させることになるのです。
また、自己中心的で感情を”コントロールしたくない”と思っている人も、この症候群になりやすいと言われています。
ピーターパン症候群の治療法
ピーターパン症候群の治療法は、心理療法やカウンセリングが一番適していると言います。適切な心の成長やバランスを取るすべを得て、自己理解を深めていきます。そして、感情のコントロール、ストレスマネジメント、リラックス法を学んで不快な状況への対応能力を向上させていきます。
カウンセリングによってピーターパン症候群から解放される人は多く存在します。この症状に悩んでいる人は、まずは専門家に相談してみましょう。
ウェンディ・ジレンマについて
ピーターパン症候群に並んで「ウェンディ・ジレンマ」というものもあります。ウェンディ・ジレンマとは、ピーターパン症候群の人を教育することに疲れてストレスをため込んでしまうことを言います。ウェンディとは、物語『ピータ-パン』に登場する女の子のことで、子供たちの母親代わりを引き受けています。
ピーターパン症候群の人は、ウェンディのような人を恋人に求めており、自分のすべてを受け止めてもらおうとします。もし、ウェンディ役として恋人になってしまったら、相手を甘やかさずときには放置する必要があります。強い𠮟責は相手のへそを曲げてしまいます。ストレスにならない範囲で付き合えると良いですね。
まとめ
ピーターパン症候群は自ら自覚している人は少なく、カウンセリングを受けるほどではないと思っている人が大半です。ただ、この症候群はうつ状態やパニック障害を引き起こす原因にもなるので、早めの治療が必要でしょう。自分が悩んでいるのではなく、他人のピーターパンっぷりに悩んでいるというのであれば、ときには離れることも必要です。ウェンディ・ジレンマに陥らないように気をつけましょう。