インナーチャイルドとは?
インナーチャイルド(Inner Child)とは、直訳すると「内なる子ども」、つまり自分の中にいる子供時代の記憶や感情のことを指します。

インナーチャイルドは生まれつき備わった誰しもが持っている心の領域のことではありますが、子ども時代の記憶や感情の中でも主に辛かった記憶や感情のことを指し、「傷ついたインナーチャイルド」「インナーチャイルドを癒す」という使い方をします。この傷ついた過去が癒されないままだと大人になっても負の感情が残り続け、社会生活や人間関係に影響を及ぼすといわれています。

この考え方は1980年頃にアメリカから来たもので、別名ロストチャイルドとも呼ばれています。自分の心の迷宮に迷い込んだ子どもの存在を自分自身でも気づかず迷子のままという状態を表しているそうです。そう、傷ついたインナーチャイルドがいることに自分では気づきづらいものなのです。もしかしたら、今自分の中にある満たされない感情はインナーチャイルドが関係しているのかもしれません。

では、この傷ついたインナーチャイルドが生まれる状況や傷ついたインナーチャイルドがいる人の特徴、そしてその癒し方を具体的に見ていきましょう。

インナーチャイルドとアダルトチルドレンの違い

アダルトチルドレンとは、幼いころに虐待やネグレクトなど、家庭に問題がある環境で過ごしてきた人を指しています。アダルトチルドレンには次のような特徴があり、その結果として「生きづらさ」を感じている人が多くいます。
・自分の感情のコントロールが難しい
・人間関係において苦手意識をもっている
・自分の言動に確信が持てず不安を抱える
・人の顔色を伺ってしまう
・自己肯定感が非常に低い

アダルトチルドレンは幼少期の体験によるトラウマを持っていることを指し、インナーチャイルドは幼少期に感じた辛い感情や記憶そのものを指しています。違いはありますが、この2つには関連性があり、辛い記憶や感情であるインナーチャイルドを癒すことでアダルトチルドレンの克服に繋がるとされています。

アダルトチルドレンついての詳細は
こちらからご覧ください。
タイプ別|インナーチャイルドが傷つく例
  1. ロストラブ
  2. 親からの愛情を十分に受けることができない環境だと、子供は孤独や寂しさを抱えるようになります。1日のうちで子供との関わりが極端に少ない場合や極度な放任主義、または親から見捨てられるような体験が原因でインナーチャイルドが傷つきます。
  3. ニゲーション
  4. 自分を肯定してくれるはずの両親から否定や差別などを受けて育つことでインナーチャイルドは傷つきます。兄弟間で成績の良し悪しを比べられる、親戚や同級生と比べて差別され続けると、親の意向をくみ取るために自分の気持ちを抑え込んでしまうようになります。
  5. エクステクペーション
  6. 子供に期待を寄せることは悪いことではありません。しかし、過剰な期待はインナーチャイルドを引き起こす原因になりかねません。過度な期待を感じ、プレッシャーとなることで不安や恐怖心が強くなり、反抗や反発が激しくなる可能性もあります。
  7. アビアランス
  8. 「世間からどう見られるか」といった価値観の元で育った人は、コンプレックスが強い傾向にあります。「人からどう見えるか」が重要であり、中身よりも外見を重視する傾向があるため、自分より優れた人間を見ると、強い劣等感や嫉妬心を感じてしまうようです。
  9. シークレット
  10. 教育の中で矛盾が発生するとインナーチャイルドが傷つくことがあります。例えば、「嘘をついてはいけない」と親から教えられたのに親はよく嘘をついているというような矛盾が繰り返されると、「本当のことは言ってはいけない」と思考が切り替わって自分の感情や言いたいことを誤魔化してしまうようになるのです。
  11. ディスライク
  12. 家庭の中で自分の存在を否定された経験があると嫌われないために「両親が望む姿」になろうとします。容姿や性別の否定が多く、自分の性別や容姿に強いコンプレックスを抱く可能性もあります。
  13. ヘルパー
  14. 親の代わりに家事や兄弟の面倒を見ていた経験があると感謝をされることに対して自分の存在意義を見出すようになるため、人に世話を焼きすぎるようになります。
  15. インダルジ
  16. 幼少期から極度に甘やかされて育つと社会的なルールが身に付かないまま成長する可能性があります。感情のコントロールが上手くできず、自分の希望や要求が通らないと子供のように感情を爆発されることもあるタイプです。
  17. ディスペンデンスパーソン
  18. 「親の背中を見て育つ」というように、子どもは教えていないことも親の行動を見て学びます。そのため、DVやアルコール依存など親の行いがあまり素行の良くないものでもそれを真似するようになります。
インナーチャイルドが傷ついている人の特徴
  1. 自己否定的
  2. インナーチャイルドが傷ついていると、自分の言動に自信がなくなりちょっとしたことでも「自分が悪い」と思い込んでしまいます。家庭内で認められた経験が少ない人に多く見られるもので、物事の責任をつい自分で背負ってしまったり、自分を否定したりすることが多くなってしまいます。
  3. 対人恐怖症がある
  4. 人間関係に強い苦手意識があるのも1つの特徴です。愛情を感じる機会が少ない家庭で育つと、人との接し方や愛し方、信じ方が分からなくなってしまいます。そのため、人と接すること自体に恐怖を覚えてしまうのです。
  5. 他者をコントロールしたいと思う
  6. インナーチャイルドが傷ついている人の中には、自分の想定外の出来事が起きたときに強い不安感を感じる人もいます。その不安感から、安心感を得るために他人をコントロールしようとしてしまうのです。より親しい間柄になると、その傾向が強く表れてしまうようです。
インナーチャイルドを癒すメリット
  1. 自分の気持ちに正直になる
  2. インナーチャイルドを癒すと抑圧されていた自分の感情を開放しやすくなります。その結果、自分の好きなものややりたいことが明確になり、人生の目標や楽しみ方を簡単に見出せるようになります。
  3. 自分を好きになれる
  4. インナーチャイルドを癒すと自分を肯定できるようになります。いろんなことに対して「このままでも良いんだ」と思えるようになるでしょう。
  5. 負の感情が少なくなる
  6. インナーチャイルドが傷ついていることで起きる一番のデメリットは、ぬぐい切れない不安感や憎悪、悲しみといった負の感情です。癒しに成功すると、これらの訳も分からず芽生えていた負の感情から解放されます。そして、前向きに明るい気持ちを抱えて生活できるようになっていきます。
  7. 柔軟な考え方ができるようになる
  8. インナーチャイルドを癒すことで様々な思い込みから解放されます。自分では不可能だと思っていたようなことにもチャレンジ精神が芽生えたり、やる気を持って取り組むことができるようになったりします。人の意見を受け入れられるようにもなるので、柔軟な思考が身に付きます。
インナーチャイルドの癒し方
  1. どんな感情や記憶があるか自覚する
  2. インナーチャイルドを癒すにはまず、自分はいったい何に傷つき恐れているのかを自覚することが大切です。つらい過去の記憶や幼少期に満たされなかった思いなど辛いと思ったことを全て紙に書き出してみましょう。
  3. 負の感情を放出する
  4. 過去の辛い記憶をたどって当時の強い怒りや悲しみなど抑え込んでいた感情を全て吐き出してみてください。このとき、相手を正当化する必要はありません。感情を開放することが目的なので、心のままに嫌な気持ちを吐き出しましょう。吐き出すときは、大声を出したり人の邪魔が入らない安全な場所で行うようにしてください。
  5. 望む思考パターンを身に着ける
  6. 抑え込んでいた感情が開放されて自分の感情のままに動けるようになったら、次に自分のなりたい姿を想像してみましょう。前向きに進みたい場合はポジティブな思考を、社交性を高めたい場合はどんな人とも話せる自分を思い描いて、それに合った思考パターンを身に着けていきましょう。
  7. 上手くいかないときは専門家へ相談
  8. 上記のステップを踏んでも上手くいかないことはあります。インナーチャイルドを癒すのにはある程度時間を要しますが、自分一人では無理だと思ったら専門家へ相談してみましょう。
まとめ
過去の辛い体験や傷ついた経験を、無理に消し去る必要はありません。少しづつインナーチャイルドを癒していくことで、「自分はそのままで良い」と受け入れることができるでしょう。皆さんが幸せな日常を送れることを祈っています。
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