陰陽師は何者なのか|意味や役割、安倍晴明について解説
陰陽師とは?

陰陽師とは、中国から伝来した陰陽五行説「陰陽道」を用いて方位・時間の吉凶を占ったり、祈祷したりする役職のことです。さまざまな呪術を用いて、人の守護やまじないをすることもあったとされています。

陰陽師についてなんとなくは知っているものの、何をする人なのか知らない方も多いでしょう。ということで今回は、陰陽師に関して詳しく解説していきます。では、一緒に見ていきましょう。


陰陽師の歴史

  1. 陰陽道とは?
  2. 陰陽道とは、古代中国より日本にもたらされた「陰陽五行説」をもとに、天文学や暦の知識を用いて、日にちや時間、方角などの吉凶を占う技術のことです。

    また、古代の陰陽師は、暦や天文を研究する人たちでもありました。
  3. 陰陽寮について
  4. 陰陽寮とは、平安時代に国が作った役所のことです。陰陽道の知識は陰陽寮によって管理され、ここに所属した人が「陰陽師」と名乗ることを許されていました。陰陽道は生活のあらゆる場面に活用され、平安時代の人々にとってなくてはならない存在だったとされています。

    また、陰陽師の活躍の場が広がるうちに、仏教などと混ざり合い発展して行ったといわれています。
  5. 安倍晴明一族の台頭
  6. 陰陽師といえば「安倍晴明」を思い浮かべる方も多いでしょう。安倍晴明は子孫を多くのこし、その子孫たちは代々陰陽師として多方面で活躍していました。陰陽道の名のもとに占いを求める人々に向けた祭りなど、陰陽師としての活動も盛んになったのも安倍晴明の功績によるものです。

    その後、陰陽道は陰陽師の手を離れ、書物などになって広く一般に広がっていくようになったとされています。
陰陽師の役割

  1. 暦の作成
  2. 陰陽師は天文学を研究する職でもありました。そのため、暦の作成なども任され、星などの研究を進めていたといいます。

    また、天文学の研究を進めるため、陰陽寮には日本初の天体観測スペースと言われる「占星台」も設けられるほど、その研究は盛んでした。「占」の字はあれど、実際は天体観測がメインだったといわれています。
  3. 吉凶の判断
  4. 陰陽五行説や天文学を用いて、日時や方角の吉凶を判断するのも陰陽師の仕事の1つです。

    現在でいう風水と同じ意味である「地相」を見たり、神や鬼などの関わりから凶日・吉日を見たりすることもありました。吉凶を占うだけではなく、災いを退けるための方法を伝える役割を持ち、人々を災いから守っていたとされています。
  5. 祭事
  6. 時がたつと、陰陽道を用いたお祭りや祈祷をとり行うのも、陰陽師の仕事になっていったとされています。

    また、陰陽道だけではなく仏教や道教などの考えを取り入れるようになり、医術としての祈祷などをとり行うようになりました。現代での「陰陽師」は呪術師のイメージが強いですが、呪術を使うだけではなかったのです。
陰陽師・安倍晴明について

  1. 安倍晴明とは?
  2. 安倍晴明(あべのせいめい)とは、天文学に関する豊富な知識と占いの才能を持つ、陰陽師を代表する人物です。陰陽寮をまとめる陰陽頭にはなれなかったものの、貴族や陰陽寮での名声はとても高く、陰陽頭よりも地位は高かったとされています。
  3. 安倍晴明の来歴
  4. 安倍晴明は「キツネを母に持つ」という逸話もあるほどの実力者ですが、実は詳しいことは分かっていません。

    安倍晴明は賀茂忠行という陰陽師のもとで陰陽道を学び、陰陽師となったといわれています。陰陽師として活躍後、子孫を残し陰陽師を継ぐ大きな一門となったことが知られています。
陰陽師が用いたもの・呪術

  1. 式神(しきがみ)
  2. 式神は、陰陽師が使う鬼神やエネルギー体のことです。

    陰陽師以外の目には見えない力を封じ込めた和紙に込めたものを式神と言い、儀式やまじないなどに使われていました。
  3. 九字(くじ)
  4. 「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前」の9文字を九字といいます。

    呪文の一種であり、災いを跳ね除け幸運を呼ぶものとして使われていました。古来の中国道家から伝わったものだといわれています。
  5. 呪符(じゅふ)
  6. 呪符とは、五芒星などの図形や急急如律令という呪文が描かれた「悪いもの」とされる悪霊や災いを跳ね除けるための、特別な力を込めた札のことをいいます。
  7. 急急如律令(きゅうきゅうにょりつりょう)
  8. 急急如律令とは「早々に退散せよ」という意味の悪霊や災いを祓うための呪文です。

    元は、中国の公門書の最後に書き記されていた言葉で「急いで律令の如く行え」つまり「迅速に命令に従え」という意味でした。

    日本に伝わり陰陽道に組み込まれると「早々に退散せよ」という呪文の締めの言葉として使われるようになったとされています。
まとめ

陰陽師は呪術や占いだけではなく、天文学にも精通していたとされています。星の動きを読み解き、人々を幸せへと導くための大切な存在でもありました。

陰陽師について深く知ることで、映画や小説も一味違った楽しみ方ができるかもしれませんね。

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