鶴の一声の意味とは?
鶴の一声(つるのひとこえ)とは、様々な意見や議論をおさえて、従わせる権力者や有力者の一言のことをいいます。

例えば、会議で結論が出なかったり、意見がまとまらなかったりするときに「部長の鶴の一声で会議が終わった」と言うと、部長が決めた方針で話がまとまったという意味になります。

この例でいうと部長の素晴らしい決断によって、効率よく話が進むという印象の良い意味に聞こえますよね。ただ、鶴の一声は場合によって使うと失礼にあたることもあります。

ということで今回は、鶴の一声の語源や正しい使い方などについて詳しく紹介します。

鶴の一声の語源

鶴の一声(つるのひとこえ)とは、様々な意見や議論をおさえて、従わせる権力者や有力者の一言のことをいいます。 言葉の由来は、書いて字の通り「鶴の声」です。

鶴は古来より、長寿などのおめでたいものの象徴とされてきました。中国の「鶴は千年、亀は万年生きる」という言葉が日本に伝わり、長寿の象徴となったと言われています。江戸頃までは多くいた鶴ですが、現在では鶴は絶滅危惧種に指定された希少な鳥です。今となっては、縁起物としても数としても貴重な存在となっているのです。

その鶴の鳴き声は、その希少性よりもさらに珍しいもので、滅多に聞くことができないと言われています。そしてその声は、遠くまで響き渡るほど甲高く大きな声をしています。

つまり鶴の一声とは、希少性のある者の隅々まで響き渡るような影響力のある一声という意味なのです。
鶴の一声は失礼にあたる?
鶴の一声は、通常「意見をまとめて話を円滑に進める一言」として使われていますが、使うと失礼に当たる場合もあります。

例えば「順調に進んでいた案件が、鶴の一声で方向性が変わった」と言えば、権力者か有力者の意見で大きく路線が変わり、今までのものが無駄となったと捉えることができます。

このようにネガティブな意味で使うときは、当事者の耳に入らないように気を付けた方が良いでしょう。

鶴の一声には、もともと「周囲の意見をおさえる」という意味があります。鶴の非常に大きな鳴き声も、遠くで聞けば風情を感じることができますが、近くで聞けば耳を傷めかねません。

鶴の一声は、権力のある人が周囲をおさえつけることで上手くいくこともあれば、面倒ごとになることもあるということを上手く表した言葉と言えます。
鶴の一声の正しい使い方・例文
  1. 「難航していた会議が、部長の鶴の一声でまとまった」
  2. 意見の対立でまとまらない状況下において、意思決定権を持つ人の最終判断によって物事が確定したときに使われます。この場合の鶴の一声は、能力が優れた人を意味しています。
  3. 「何でも鶴の一声で決まっちゃうからやりがいがない」
  4. 良い意見を出しても、結果的には有力者の判断で物事が進められることを表しており、ややネガティブな意味を含みます。この場合の鶴の一声は、場を取り仕切る権力者を指します。
  5. 「雀の千声、鶴の一声と言われるのを恐れて発言できない」
  6. 雀の千声は「つまらない者の多くの声」といった強い意味を持ちます。「雀の千声、鶴の一声」とは、権力を持たない複数人の言葉より、一人の有力者が発する一言の方が優れていることを指ている状況で、権力に逆らえない状況を意味します。
鶴の一声の類語と対義語
  1. 天の声
  2. 天の声は、紙の声やご神託の意味を持つ言葉です。影響力のある人の言葉という意味で使われており、鶴の一声以上に権力を持つことを指しています。
  3. 恣意的な発言
  4. 恣意とは、思い付きの考えや身勝手な行動のことです。根拠を持たない感情論として理解されることも多いですが、権力でその他の意見を抑える鶴の一声と比べ、恣意的な発言の抑制力は大きくはありません。
  5. 一存
  6. 一存とは、自分だけの考えのことです。例えば、「社長の一存で全てが決まってしまう」などと使われます。多くの意見を抑えて決定する鶴の一声に対し、一存は権力者の考えのみで物事を強引に進められるさまを表します。
鶴の一声の英語表現
  1. the final say/the last word
  2. 「鶴の」という言い回しは日本特有の言葉なので、英語での直訳はありません。近い意味の表現を挙げるなら、最終決定権のことを指す「the final say/the last word」が一番近いでしょう。

    例「Project goals was decided by the president’s last word.(プロジェクトの目標が社長の一声で決まった)」
  3. one word from ~
  4. 「one word from ~」は「~の一声」という意味です。「the final say/the last word」と比べると「決定権がある」というニュアンスは薄くなります。

    例「One word from my boss made the meeting finished.(上司の一声で会議が終わった)」
まとめ
権力者の一言を表す「鶴の一声」は、ネガティブな意味でもポジティブな意味でも使うことができます。ネガティブな意味で使う場合は、本人にいうと失礼に当たるので使う場面には気を付けましょう。
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