「お伺いさせていただきます」は正しい?
「お伺いさせていただきます」は正しい敬語表現ではありません

「お伺いさせていただきます」は、謙譲語の「伺う」と同じく謙譲語の「させていただく」が並んだ言葉です。これは二重敬語といって、間違った使い方とされています。

では、正しくは何と言えば良いのでしょうか?「お伺いさせていただきます」の代わりになる正しい敬語表現には、複数の言い方があります。順を追って説明していきますので、一緒に正しい敬語表現をマスターしていきましょう。

「お伺いさせていただきます」の正しい敬語表現
  1. 「伺う」の意味
  2. 「伺う」は「行く」「聞く」「訪れる」「尋ねる」の謙譲語にあたります。

    謙譲語は相手に対する敬意を表す敬語表現ですが、自分の行動を相手へ控えめに伝えることで経緯を示す意味があるため、他者の行動に対して使うことはできません。

  3. 「伺う」の正しい使い方
  4. 「伺う」を使用する場合「伺います」のみが正しい敬語表現になります。
  5. 二重敬語とは
  6. 二重敬語とは、1つの動作に複数の敬語を重ねることです。

    例えば「お伺いさせていただきます」は、謙譲語の「伺う」に「する」の謙譲語「させていただく」がついた言葉です。「行く」という1つの動作に、2つの謙譲語がついていることになり、二重敬語となります。

    二重敬語は、過剰な敬語となるため適切ではないとされています。
  7. 「お伺いいたします」はグレーゾーン
  8. 二重敬語が間違いなのであれば「させていただく」を抜いた「お伺いします」や「お伺いいたします」は正しいということなのか、気になりますよね。

    「お/ご~する」や「お/ご~いたす」も「伺う」事態が謙譲語であるため、二重敬語となり適切ではないとされています。

    慣用的に使われているため認められることは多いのですが、正式な場面での使用は避けた方が無難でしょう。
  9. 「伺わせていただきます」も間違い
  10. 「伺わせていただきます」は、二重敬語にあたるため、表現としては適切ではありません。

    「いただく」は相手の許可を取るための行動に対する敬語です。「行く」行動自体に許可は必要ではありません。

    そのため正しくは、「伺ってもよろしいでしょうか」や「〇時に伺います。よろしくお願いいたします」となります。

    とはいえ、ややこしくて使いづらさを感じてしまいますよね。正しく使えるように「伺います」を使った例文を一緒に見ていきましょう!
「伺う」の使用例
  1. 「行く」という意味の「伺う」
  2. 「行く」という意味の「伺う」を使った正しい表現について例文を紹介します。では、確認して行きましょう。
    ●来週、担当者と共にご自宅へ伺います。
    ●本日の午後に伺いたいのですが、よろしいでしょうか。
    ●明日14時の会議に伺います。どうぞよろしくお願いいたします。

  3. 「聞く」という意味の「伺う」
  4. 「聞く」という意味の「伺う」を使った正しい表現について例文を紹介します。では、確認して行きましょう。
    ●お客様から資料の件について電話が欲しいと伺いました。
    ●先日の会議では、大変有意義なお話を伺うことができました。
    ●先日大変だったと伺いましたが、その後いかがでしょうか。
敬語の基本ルール
  1. 謙譲語のルール
  2. 謙譲語は、自分を下げることで相手への敬意を示す表現のことです。

    例えば「伺う」「申し上げる」「いただく」などが謙譲語に分類されます。この表現は自分の行動に使う言葉なので、相手の行動には使えません。
  3. 尊敬語のルール
  4. 尊敬語は、自分を相手を高めることで敬意を伝える表現のことです。

    例えば「いらっしゃる」「召し上がる」「お忙しい」「ご覧になる」などが尊敬語にあたります。尊敬語は自分の行動には使えません。
  5. 丁寧語のルール
  6. 丁寧語は、丁寧な言葉に変換して相手への敬意を示す表現のことです。

    例えば「です」「ます」「ございます」が丁寧語にあたります。謙譲語と尊敬語に比べてややフランクな印象ですが、汎用性が高く一般的に使用されている表現です。
「お伺いさせていただきます」の正しい代替表現
  1. 伺いたく存じます
  2. 「伺いたく存じます」は「伺う」に、願望を表す「たい」と「思う」の謙譲語「存ずる(ぞんずる)」がついた表現です。

    つまり「聞きたいです」「行きたいです」という意味です。謙譲語が2つ付いていますが、それぞれ「聞く」と「思う」という違う意味を表すため、二重敬語にはなりません。
  3. 参ります
  4. 「参る」は「行く」の謙譲語です。

    「伺う」との違いは「伺う」は行く場所への敬意に対し、「参る」は相手への敬意を示す表現である点です。例えば、「伺う」の場合は「貴社に伺います」、「参る」は「お迎えに参ります」と使います。
  5. 訪問いたします
  6. 「訪問いたします」は「訪問する」に謙譲語の「いたす」がついた表現です。

    「ご訪問いたします」は先述したようにグレーゾーンの敬語表現にあたるため「お」や「ご」は付けない方が無難でしょう。
  7. お聞きします、聞かせていただく
  8. 「お~する」で謙譲語です。そのため「聞く」に「お~する」をつけた「お聞きします」は、謙譲語となります。

    ここで「お聞きいたします」とすると、二重敬語となるため避けましょう。

    「いただく」は、相手から許可をもらってする行為に使える謙譲語です。そのため「聞かせていただく」は「聞かせてもらう」という意味になります。
  9. お尋ねします
  10. 「伺う」は「尋ねる」の謙譲語であるため、どちらも意味は変わりません。

    「尋ねる」の形を崩さず謙譲語にする場合は「お尋ねします」が正しい表現です。

    「尋ねる」自体は敬語ではないため、目上の人に「その件に関しては○○にお尋ねください」と使用しても問題ありません。ただし、自分の方が情報を知っているときに使う表現であるため、やや見下した表現になりかねないことに注意しましょう。
  11. 拝聴します
  12. 「拝聴する」は「聞く」の謙譲語にあたります。そのため自分の行動にのみ使える言葉です。

    「拝聴」自体が謙譲語のため、「拝聴させていただく」や「ご拝聴いたします」などは二重敬語となり不適切な表現となります。
正しい敬語表現は「伺います」

「伺う」を使った敬語表現は「伺います」のみが正しい言い方です。

敬語は複雑で難しいですが、正しい言い換え使い方を覚えるとビジネスシーンでとても役立つので、ぜひ正しい言い方をマスターしていきましょう!

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