「お伺いさせていただきます」は、謙譲語の「伺う」と同じく謙譲語の「させていただく」が並んだ言葉です。これは二重敬語といって、間違った使い方とされています。
では、正しくは何と言えば良いのでしょうか?「お伺いさせていただきます」の代わりになる正しい敬語表現には、複数の言い方があります。順を追って説明していきますので、一緒に正しい敬語表現をマスターしていきましょう。
目次 [非表示]
- 「伺う」の意味
- 「伺う」の正しい使い方
- 二重敬語とは
- 「お伺いいたします」はグレーゾーン
- 「伺わせていただきます」も間違い
「伺う」は「行く」「聞く」「訪れる」「尋ねる」の謙譲語にあたります。
謙譲語は相手に対する敬意を表す敬語表現ですが、自分の行動を相手へ控えめに伝えることで経緯を示す意味があるため、他者の行動に対して使うことはできません。
例えば「お伺いさせていただきます」は、謙譲語の「伺う」に「する」の謙譲語「させていただく」がついた言葉です。「行く」という1つの動作に、2つの謙譲語がついていることになり、二重敬語となります。
二重敬語は、過剰な敬語となるため適切ではないとされています。
「お/ご~する」や「お/ご~いたす」も「伺う」事態が謙譲語であるため、二重敬語となり適切ではないとされています。
慣用的に使われているため認められることは多いのですが、正式な場面での使用は避けた方が無難でしょう。
「いただく」は相手の許可を取るための行動に対する敬語です。「行く」行動自体に許可は必要ではありません。
そのため正しくは、「伺ってもよろしいでしょうか」や「〇時に伺います。よろしくお願いいたします」となります。
とはいえ、ややこしくて使いづらさを感じてしまいますよね。正しく使えるように「伺います」を使った例文を一緒に見ていきましょう!
- 「行く」という意味の「伺う」
- 「聞く」という意味の「伺う」
●本日の午後に伺いたいのですが、よろしいでしょうか。
●明日14時の会議に伺います。どうぞよろしくお願いいたします。
●先日の会議では、大変有意義なお話を伺うことができました。
●先日大変だったと伺いましたが、その後いかがでしょうか。
- 謙譲語のルール
- 尊敬語のルール
- 丁寧語のルール
例えば「伺う」「申し上げる」「いただく」などが謙譲語に分類されます。この表現は自分の行動に使う言葉なので、相手の行動には使えません。
例えば「いらっしゃる」「召し上がる」「お忙しい」「ご覧になる」などが尊敬語にあたります。尊敬語は自分の行動には使えません。
例えば「です」「ます」「ございます」が丁寧語にあたります。謙譲語と尊敬語に比べてややフランクな印象ですが、汎用性が高く一般的に使用されている表現です。
- 伺いたく存じます
- 参ります
- 訪問いたします
- お聞きします、聞かせていただく
- お尋ねします
- 拝聴します
つまり「聞きたいです」「行きたいです」という意味です。謙譲語が2つ付いていますが、それぞれ「聞く」と「思う」という違う意味を表すため、二重敬語にはなりません。
「伺う」との違いは「伺う」は行く場所への敬意に対し、「参る」は相手への敬意を示す表現である点です。例えば、「伺う」の場合は「貴社に伺います」、「参る」は「お迎えに参ります」と使います。
「ご訪問いたします」は先述したようにグレーゾーンの敬語表現にあたるため「お」や「ご」は付けない方が無難でしょう。
ここで「お聞きいたします」とすると、二重敬語となるため避けましょう。
「いただく」は、相手から許可をもらってする行為に使える謙譲語です。そのため「聞かせていただく」は「聞かせてもらう」という意味になります。
「尋ねる」の形を崩さず謙譲語にする場合は「お尋ねします」が正しい表現です。
「尋ねる」自体は敬語ではないため、目上の人に「その件に関しては○○にお尋ねください」と使用しても問題ありません。ただし、自分の方が情報を知っているときに使う表現であるため、やや見下した表現になりかねないことに注意しましょう。
「拝聴」自体が謙譲語のため、「拝聴させていただく」や「ご拝聴いたします」などは二重敬語となり不適切な表現となります。
「伺う」を使った敬語表現は「伺います」のみが正しい言い方です。
敬語は複雑で難しいですが、正しい言い換え使い方を覚えるとビジネスシーンでとても役立つので、ぜひ正しい言い方をマスターしていきましょう!