「奇を衒う」はネガティブワード
「奇を衒う(きをてらう)」とは、変わったことをして注意を引こうとするという意味で、他者の行動を非難するときに使われるネガティブな言葉です。

ニュースや職場などでよく耳にすることもある言葉ですが、何気なく使っている人も多いのではないでしょうか。

今回は、そんな「奇を衒う」の正しい意味や使い方について詳しく解説していきます。

「奇を衒う」の意味

「奇を衒う(きをてらう)」とは、わざと変わった行動をして、他者の注意を引こうとするという意味です。

では「奇を衒う」の意味をより詳細に見ていきましょう。

  1. 「奇」とは?
  2. 奇を衒うに使われる「奇」は、「珍しい」「不思議」といった意味を持つ漢字です。「奇」が使われる熟語には例えば「奇跡」や「奇妙」などがあります。どれも珍しいことを意味する言葉ですね。
  3. 「衒う」とは?
  4. 奇を衒うの「衒う(てらう)」は「自分には優れた能力があるかのように見せびらかす」という意味の動詞です。つまり奇を衒うとは、珍しいことのように見せびらかすことを言うのです。
  5. 「衒奇」と言うことも
  6. 「奇を衒う」を2文字で表す言葉を「衒奇(げんき)」といいます。どちらも同じ意味を持つ言葉です。使われるシーンは多くないので、馴染みのない方も多いでしょう。
「奇を衒う」のよくある誤用
  1. 「奇を衒う」はネガティブな意味
  2. 「奇を衒う」は、ポジティブな意味で使われることはほとんどありません。わざとらしい行動をやや非難するように使われることの多い、ネガティブな言葉です。
  3. 「奇を狙う」は間違い
  4. 「奇を衒う」と同じ意味で「気を狙う」が使われているのを耳にしますが、これは誤用です。「衒う」と「狙う」が似ているので、間違えて使われ始めたようです。
「奇を衒う」の使い方
  1. 奇を衒う必要はない
  2. 「十分な知識と経験を持っているので、取引先との交渉の際に奇を衒う必要はない。」
    「地道な努力の積み重ねがあれば成功することができるので、奇を衒う必要はない。」
  3. 奇をてらった行動
  4. 「初めのうちは奇をてらった行動で注目されるが、それは長くは続かないだろう。」
    「奇をてらった行動で評価されても、実力がなければやがて見放されてしまうだろう。」
  5. 奇をてらわずに
  6. 「周りから評価されるためには、奇をてらわず地道に努力するべきだ。」
    「奇をてらわずに正攻法でアピールしていけば、やがて顧客も増えていくだろう。」
「奇を衒う」の類語・対義語
  1. 類語
  2. ●突飛なことをする
    「突飛」とは、奇抜や風変りという意味です。思いもよらない突発的な行動をする様子を「突飛なことをする」といいます。

    ●意表を突く
    「意表」とは、思いがけないことや考えつかないという意味です。誰もが思いつかないような行動をして、人を驚かせる様子を「意表をつく」といいます。

    ●受けを狙う
    「受けを狙う」とは、相手に喜んでもらう行動を取ることをいいます。例えば、笑いを取りに行ったり、好かれようとする行動のことを受けを狙うといいます。

    ●風変わりなことをする
    「風変りなことをする」とは、一般的な行動とは違う行動をすることをいいます。「奇を衒う」ほどネガティブな言葉ではありませんが、あまりいい意味ではないので使うときは気を付けましょう。
  3. 対義語
  4. ●当たり障りのない
    「当たり障わり(あたりさわり)」とは、悪い影響を与える物事のことをいいます。「当たり障りのない」と言うと「害がない」という意味になります。

    ●無難な
    「無難」とは、間違いがない、危険がない、突出したところがないという意味です。無難はややネガティブな意味で使われる言葉です。

    ●月並みな
    「月並みな」とは、平凡でありふれているという意味です。新鮮さがない、平均的で突出した特徴がないことを意味するややネガティブな意味の言葉です。
「奇を衒う」の英語表現
  1. outlandish
  2. 「outlandish」は「風変わりな、奇をてらった」という意味を持つ英単語です。例文を見てみましょう。

    「She does something to be different.(彼女は奇をてらったことをする)」
  3. dare to be different
  4. 「dare to be different」は「あえて変わっていることをする」という意味の表現です。例文を見てみましょう。

    「She dares to be different.(彼女はあえて変わったことをする)」
まとめ
「奇を衒う」は、人とは違う行動で目立とうとすることを意味します。ポジティブな意味で使われることは少ないので、使いどころには気を付けましょう。また「奇を狙う」は誤用なので、使わない方が無難でしょう。
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